市況【2019年1月4日掲載】

Ⅰ. 市況報告

12月の国内鉄スクラップ相場は、11月からの下落基調に歯止めがかからない状況が続き、H2価格は前月末と比べ関東、関西共に@¥1,000~1,500程度低い@¥30,000前後で年末を迎えている。特に、輸出向けを主とする東京湾岸の輸出業者の買入れ価格は@¥28,000程度とされ、電炉向け炉前価格との値差が拡がっている。
この背景には、世界的な株価の大幅下落、原油価格の値下がり、@¥110/$近くになった円高傾向と言った心理面での不安感があり、さらには、年末特有の市中回収量の増加も相俟って出荷促進の動きが加速されていたと思われる。(為替は、年明けに@¥107/$台まで円高が進んでいる。)
不冴ムード一色とも言える市場環境の中で、中国のビレット、鉄スクラップ価格が12月に入り上昇が報告されるなど、一部には長期化する軟調傾向に対する見直し機運も出始めている。下旬になって、韓国向け輸出FOB価格もH2@¥29,500で一旦下げ止まり、国内電炉の買値にも一服感が出始めており、新年がどのような形で市場が動くか注目される。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2018年11月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 8,658 94
(うち電炉) 2,241 13
メーカースクラップ在庫 3,047 192
小棒生産 744 30
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2018年10月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)価格 (2018年12月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)

  価格 前月比
異形棒鋼 71,300 ±0
H形鋼 88,000 100
スクラップ 29,600 2,100
(単位:円)■資料:日本鉄源協会

(3)輸出

  数量
(2018年11月)
前月比 単価
(2018年12月)
前月比
スクラップ 503 78 29,200 2,500
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(4)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2018年11月 148,617 7,966
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(5)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2018年11月 3週目 338.50 81.7
4週目 338.50 81.3
5週目 338.50 81.3
2018年12月 1週目 338.50 80.7
2週目 335.17 80.0
3週目 335.17 80.6
4週目 335.17 (未入電)
■資料:日本鉄源協会

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2018年12月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 30.0~31.0 26.5~27.5 100% 軟調様子見
東北 32.0~33.0 29.0~30.0 100% 軟調様子見
新潟 31.0~32.0 29.0~30.0 100% 軟調様子見
関東 31.0~32.0 29.5~30.5 100% 軟調様子見
中部 31.0~32.0 29.5~30.5 100% 様子見
関西 30.5~31.0 29.5~31.0 100%弱 様子見
姫路 31.5~32.0 28.5~29.0 100%弱 様子見
中・四国 31.5中心 28.0中心 100% 様子見
九 州 33.0中心 31.0中心 100%強 軟調
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社