市況【2025年11月5日掲載】

Ⅰ. 市況報告

10月の鉄スクラップ国内市況は、市中発生が低調な中で需給がタイト化し、円安の進展も相まって中旬から下旬にかけて多くの地域で値上がりが見られ、その後も堅調感が続いていた。東京製鐵は10月に6回に亘って鉄スクラップ購入価格の引き上げを発表し、特級価格は高松で1,000円、関西サテライトヤードで3,500円、その他各拠点では2,500円上昇した。9月の電炉鋼生産は、夏季減産の終了により前月比7.8%増の164万トンと回復したものの、前年同月比では10.3%減であり、1~9月累計では前年同期比6.9%減の1,559万トンと依然低水準にある。一方、鉄スクラップ輸出は国内需要の低迷や円安によりベトナム、バングラデシュ向け等を中心に大幅な増加基調にあり、9月は前月比41.9%増の73万トン、1~9月累計では前年同期比21.5%増の568万トンに達している。海外市況は各地域とも概ね横ばいで推移しており、大きな値崩れは無いものの、全体的にはやや軟調である。米国コンポジット価格は10月第2週に21週ぶりに小幅な下落を記録した。
10月末のH2炉前価格は、関東では安値3,000円、高値2,000円の上昇、その他の地域では安値、高値とも2,500円の上昇となり、北海道以外は安値も4万円台となった。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2025年9月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 6,357 260
(うち電炉) 1,640 119
メーカースクラップ在庫 3,157 119
小棒生産 518 59
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2025年8月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)輸出

  数量
(2025年9月)
前月比 単価
(2025年10月)
前月比
スクラップ 728 215 42,300 800
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(3)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2025年9月 141,800 3,900
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(4)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2025年9月 3週目 311.67 77.4
4週目 311.67 78.1
5週目 311.67 77.2
2025年10月 1週目 311.67 76.0
2週目 309.67 76.1
3週目 308.33 76.3
4週目 308.33 76.0
■資料:日本鉄源協会
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2025年10月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 36.5~37.5 39.0~40.0 100% 様子見
東北 39.0~40.0 41.5~42.5 100% 様子見
新潟 37.5~38.5 40.0~41.0 100%弱~100% 堅調様子見
関東 39.0~41.0 42.0~43.0 100%弱~100% 堅調様子見
中部 39.0~40.5 41.5~43.0 100%弱~100% 堅調様子見
関西 39.5~40.5 42.0~43.0 100% 堅調様子見
姫路 40.0~41.5 42.5~44.0 100% 様子見
中・四国 40.5中心 43.0中心 100%弱
九 州 40.5中心 43.0中心 100%
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社