市況【2025年10月2日掲載】

Ⅰ. 市況報告

9月の鉄スクラップ国内市況は、需給の低位均衡の中で概ね様子見の状況にあるが、地域によってばらつきがあり、需給がひっ迫した一部地域で値上がりが見られた。東京製鐵は実勢に合わせ9月下旬に鋼材販価の値下げを発表する一方で、鉄スクラップ購入価格は岡山で3回計1,500円、九州で2回計1,000円、関西SYで1回500円の引き上げを行った。岡山と九州は安値修正が進み、特級価格は拠点間最高値の田原と並んだ。8月の電炉鋼生産は夏季減産の影響もあり、前月比11.4%減の152万トンと大幅に減少した(1~8月累計では前年同期比6.4%減の1,395万トン)。鉄スクラップ輸出も8月は季節要因もあって前月を下回る51万トンとなったが、1~8月累計では前年同期比16.2%増の495万トンと高水準を維持している。海外市況はアジアの一部で値下がりの動きがみられるものの、欧米は概ね堅調に推移しており、米国コンポジット価格は4か月以上にわたり横ばいが続いている。なお、米国の鉄スクラップ輸出量は1~7月累計で前年同期比16.0%減の733万トンと、大きく減少している。
9月末のH2炉前価格は東北、新潟、中部が前月比横ばいであったが、その他の地域は同500円~1,500円値上がりした。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2025年8月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 6,636 282
(うち電炉) 1,523 196
メーカースクラップ在庫 3,276 47
小棒生産 461 71
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2025年7月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)輸出

  数量
(2025年8月)
前月比 単価
(2025年9月)
前月比
スクラップ 513 103 41,500 100
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(3)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2025年8月 145,300 4,100
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(4)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2025年8月 2週目 311.67 77.9
3週目 311.67 77.4
4週目 311.67 78.1
2025年9月 1週目 311.67 79.2
2週目 311.67 77.9
3週目 311.67 77.4
4週目 311.67 未入手
■資料:日本鉄源協会
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2025年9月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 35.0~36.0 36.5~37.5 100% 上昇
東北 39.0~40.0 39.0~40.0 100%弱~100% 様子見
新潟 37.5~38.5 37.5~38.5 100% 様子見
関東 39.0~40.0 39.0~41.0 100%弱~100% 堅調様子見
中部 39.0~40.5 39.0~40.5 100% 様子見
関西 38.5~40.5 39.5~40.5 100% 様子見
姫路 39.0~39.5 40.0~41.5 100%弱~100% 堅調様子見
中・四国 39.0中心 40.5中心 100%
九 州 39.5中心 40.5中心 100%
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社