Ⅰ. 市況報告
9月の鉄スクラップ国内市況は、需給の低位均衡の中で概ね様子見の状況にあるが、地域によってばらつきがあり、需給がひっ迫した一部地域で値上がりが見られた。東京製鐵は実勢に合わせ9月下旬に鋼材販価の値下げを発表する一方で、鉄スクラップ購入価格は岡山で3回計1,500円、九州で2回計1,000円、関西SYで1回500円の引き上げを行った。岡山と九州は安値修正が進み、特級価格は拠点間最高値の田原と並んだ。8月の電炉鋼生産は夏季減産の影響もあり、前月比11.4%減の152万トンと大幅に減少した(1~8月累計では前年同期比6.4%減の1,395万トン)。鉄スクラップ輸出も8月は季節要因もあって前月を下回る51万トンとなったが、1~8月累計では前年同期比16.2%増の495万トンと高水準を維持している。海外市況はアジアの一部で値下がりの動きがみられるものの、欧米は概ね堅調に推移しており、米国コンポジット価格は4か月以上にわたり横ばいが続いている。なお、米国の鉄スクラップ輸出量は1~7月累計で前年同期比16.0%減の733万トンと、大きく減少している。
9月末のH2炉前価格は東北、新潟、中部が前月比横ばいであったが、その他の地域は同500円~1,500円値上がりした。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2025年8月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,636 |
-282 |
(うち電炉) |
1,523 |
-196 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,276 |
+47 |
小棒生産 |
461 |
-71 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2025年7月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2025年8月) |
前月比 |
単価 (2025年9月) |
前月比 |
スクラップ |
513 |
-103 |
41,500 |
-100 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2025年8月 |
145,300 |
-4,100 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2025年8月 |
2週目 |
311.67 |
77.9 |
3週目 |
311.67 |
77.4 |
4週目 |
311.67 |
78.1 |
2025年9月 |
1週目 |
311.67 |
79.2 |
2週目 |
311.67 |
77.9 |
3週目 |
311.67 |
77.4 |
4週目 |
311.67 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2025年9月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 35.0~36.0 |
36.5~37.5 |
100% |
上昇 |
東北
| 39.0~40.0 |
39.0~40.0 |
100%弱~100% |
様子見 |
新潟
| 37.5~38.5 |
37.5~38.5 |
100% |
様子見 |
関東
| 39.0~40.0 |
39.0~41.0 |
100%弱~100% |
堅調様子見 |
中部
| 39.0~40.5 |
39.0~40.5 |
100% |
様子見 |
関西
| 38.5~40.5 |
39.5~40.5 |
100% |
様子見 |
姫路
| 39.0~39.5 |
40.0~41.5 |
100%弱~100% |
堅調様子見 |
中・四国
| 39.0中心 |
40.5中心 |
100% |
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九 州
| 39.5中心 |
40.5中心 |
100% |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |