市況【2025年5月2日掲載】

Ⅰ. 市況報告

4月の鉄スクラップ国内市況は、中旬から軟調に推移し続落となった。アメリカのトランプ政権の施策が世界経済を大きく左右しており、鉄スクラップ市況もその例外ではない。大統領就任時から新政権に対する期待感で米国の鉄スクラップも強基調に推移したが、関税施策の詳細が分かるにつれ世界経済の減速懸念が広まり、値下がりに転じた。世界的にほぼ同様な動きを見せた鉄スクラップの市況であるが、日本も4月中旬から東京製鐵を中心に値下げが続いた。また、中国の鋼材輸出は1月~3月で約2,800万トン弱と年率1億トンを超え、各国の鉄鋼および鉄スクラップ需要にはマイナス要因となっている。
今後の鉄スクラップ市況は当面軟調に推移すると見る向きが多いが、その価格は需給以外の要因 - 各国の経済政策や為替レート - が大きく影響を与えるものと思われる。
4月末のH2炉前価格としては、関東が40,000~41,000円、関西(大阪・姫路)が41,000~43,500円となり、前月末比較では500円から1,500円の値下げとなった。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2025年3月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 7,207 808
(うち電炉) 1,909 171
メーカースクラップ在庫 3,277 68
小棒生産 590 66
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2025年2月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)輸出

  数量
(2025年3月)
前月比 単価
(2025年4月)
前月比
スクラップ 646 19 41,700 200
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(3)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2025年3月 166,100 21,400
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(4)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2025年3月 3週目 374.00 74.3
4週目 378.33 76.2
5週目 378.33 74.4
2025年4月 1週目 378.33 75.2
2週目 362.33 74.9
3週目 348.33 76.0
4週目 348.33 未入手
■資料:日本鉄源協会
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2025年4月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 38.5~39.5 37.0~38.0 100% 軟調
東北 39.5~40.5 39.5~40.5 100% 軟調様子見
新潟 39.5~40.5 39.0~40.0 100% 軟調
関東 40.5~41.0 40.0~41.0 100% 軟調
中部 39.0~40.5 40.0~41.5 100% 軟調
関西 42.5~43.5 41.0~43.5 100% 軟調
姫路 42.5~43.5 41.0~43.0 100% 軟調
中・四国 42.5中心 41.0中心 100%
九 州 42.5中心 41.0中心 100%
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社