Ⅰ. 市況報告
4月の鉄スクラップ国内相場は、地域によって差はあったものの、概ね横ばい状態で推移した。4月11日の関東地区の輸出テンダーでは、落札値が51,087円と大手電炉のH2建値(51,500円)を下回る結果となり、国内電炉買値に変動は無かった。その後、製鋼トラブルが発生した関東の大手電炉が4月19日に購入価格を1,000円値下げすると、同地区の他電炉メーカーも追随。関東を中心に北海道を除く東日本地区で1,000円ほどの値下げが広がった。一方で、4月は為替の円安基調が続き、月末には156円/ドル近辺で推移している。海外勢の需要は振るわないものの、為替変動が鉄スクラップの輸出価格を下支えしている状態だ。円の急落で一部の輸出交渉価格は、見かけ上「ジリ高」の動きとなっており、月末時点でH2 FOB 51,000~52,000円程度と、関東相場に近い水準にある。
2023年度の鉄スクラップ輸出量は、韓国以外のアジア各国の輸入が伸び、約685万トン、前年度比4.6%増加という結果であった。品種別には新断スクラップが前年度比約26%増加しており、カーボンニュートラル絡みで上級スクラップの需要が見込まれる中、今後の動きが注目される。
4月末のH2炉前価格は、関東が50,000~51,000円、関西(大阪・姫路)が50,500~52,500円で、前月末比較では関東において1,000円の値下げとなった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2024年3月)
生産・在庫量 | 前月比 | |
---|---|---|
粗鋼生産 | 7,197 | +206 |
(うち電炉) | 2,053 | +184 |
メーカースクラップ在庫※ | 3,191 | +3 |
小棒生産 | 641 | +69 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2024年2月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
数量 (2024年3月) |
前月比 | 単価 (2024年4月) |
前月比 | |
---|---|---|---|---|
スクラップ | 516 | -109 | 50,900 | +1,900 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
生産量 | 前月比 | |
---|---|---|
2024年3月 | 161,200 | +12,400 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
価格(U.S.ドル) | 操業率(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2024年3月 | 2週目 | 356.00 | 77.2 | ||||
3週目 | 326.67 | 76.7 | |||||
4週目 | 326.67 | 77.5 | |||||
2024年4月 | 1週目 | 326.67 | 78.6 | ||||
2週目 | 326.67 | 77.7 | |||||
3週目 | 326.67 | 77.3 | |||||
4週目 | 326.67 | 未入手 | |||||
■資料:日本鉄源協会 | |||||||
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2024年4月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
月初 | 月末 | 入荷状況 | 見込み | |
---|---|---|---|---|
北海道 | 46.0~46.5 | 46.0~46.5 | 100% | 様子見 |
東北 | 49.5~50.5 | 49.0~49.5 | 100% | 様子見 |
新潟 | 50.5~51.5 | 49.5~50.5 | 100% | 様子見 |
関東 | 51.0~52.0 | 50.0~51.0 | 100% | 様子見 |
中部 | 49.5~51.0 | 50.5~51.5 | 99%~100%強 | 様子見 |
関西 | 51.0~52.5 | 51.0~52.5 | 100% | 様子見 |
姫路 | 50.5~52.0 | 50.5~51.5 | 100% | 様子見 |
中・四国 | 51.5中心 | 51.5中心 | 100% | |
九 州 | 51.5中心 | 51.5中心 | 100% | |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |