Ⅰ. 市況報告
2月の鉄スクラップ国内相場は、1月後半に値下がりした関東相場が中旬に値を戻したものの、その他に目立った動きは無く様子見が続いた。2月9日の関東地区での輸出テンダーの落札値が53,087円と前月並みを維持したことや、流通量が伸び悩む中で電炉生産や湾岸からの海上出荷が増加したため、需給がタイト化。これを受けて2月中旬に東日本で2,000円ほどの値上げが広がった。一方、中部や西日本の電炉メーカーは1月中旬から様子見横ばいが続いている。国内・輸出はともに盛り上がりを欠いた状態である。
2月末のH2炉前価格は、関東が¥52,000~53,000、関西(大阪・姫路)が¥52,500~53,500で、前月末比較では関東においてほぼ¥1,000~¥2,000の値上げとなった。
鉄スクラップ価格は2020年後半に値上げが始まり、2022年3月から5月に6万円台を付けた。その後は4~5万円台で推移したが、2023年8月からは7か月連続の5万円超えという高値圏を維持している。現在の高値推移は円安が大きく影響している。2022年/2023年のドル円平均が約130円/140円であったが、今年に入り150 円に近い相場展開でもあり、円建ての鉄スクラップ相場を下支えしている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2024年1月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,266 |
+283 |
(うち電炉) |
1,839 |
-15 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,334 |
+98 |
小棒生産 |
562 |
-22 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年12月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2024年1月) |
前月比 |
単価 (2024年2月) |
前月比 |
スクラップ |
458 |
-151 |
52,400 |
+100 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2024年1月 |
148,100 |
+12,400 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2024年1月 |
3週目 |
368.33 |
75.7 |
4週目 |
368.33 |
75.6 |
5週目 |
368.33 |
76.6 |
2024年2月 |
1週目 |
368.33 |
77.0 |
2週目 |
367.67 |
77.5 |
3週目 |
366.67 |
77.8 |
4週目 |
366.67 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2024年2月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 47.0~48.0 |
47.5~48.0 |
100% |
様子見 |
東北
| 49.5~50.5 |
49.5~50.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 49.5~51.5 |
51.5~52.5 |
100% |
様子見 |
関東
| 50.0~52.0 |
52.0~53.0 |
100% |
様子見 |
中部
| 51.0~52.5 |
51.5~52.5 |
97%~100% |
様子見 |
関西
| 52.5~54.0 |
52.5~53.5 |
100% |
様子見 |
姫路
| 52.5~53.5 |
52.5~53.5 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 53.0中心 |
53.0中心 |
100% |
|
九 州
| 53.0中心 |
53.0中心 |
100% |
|
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |