Ⅰ. 市況報告
9月の鉄スクラップ国内相場は続落した。月初から断続的に電炉メーカーの値下げが発表され、東京製鐵は9月中に9回の値下げを発表した。約2か月半にわたって下げ相場が続いたことにより、H2炉前価格は4万円を割り込むこととなったが、これは2021年の年初以来の安値水準である。海外需要が減退して日本の鉄スクラップ輸出が減少、国内消費も低迷が続き鉄スクラップの需給が緩んだことが9月の主な下落要因だった。アジアの鉄鋼市場では、中国からの安価鋼材流出の影響が残った。
日本国内相場の下落ペースは9月下旬に減速した。中国市況の反発や為替円安で9月下旬は輸出成約も進んだ。また、メーカー買値に先行安となっていた浜値が底入れするなど市況の動きに変化が出ている。ただし、需要は国内外ともいぜんとして盛り上がっていない。為替を含む経済情勢の動きも不透明で、予断を許さない状況である。
9月末のH2炉前価格としては、関東が37,500~38,500円、関西(大阪・姫路)が39,000~41,000円となり、前月末比較では関東が約7,500円、関西が約6~7,000円値下がりした。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2024年8月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,870 |
-227 |
(うち電炉) |
1,563 |
-309 |
メーカースクラップ在庫※
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3,313 |
-106 |
小棒生産 |
474 |
-51 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2024年7月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2024年8月) |
前月比 |
単価 (2024年9月) |
前月比 |
スクラップ |
492 |
-78 |
40,700 |
-6,400 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2024年8月 |
144,800 |
-8,000 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2024年8月 |
2週目 |
310.00 |
79.0 |
3週目 |
310.00 |
80.2 |
4週目 |
310.00 |
79.2 |
2024年9月 |
1週目 |
310.00 |
79.8 |
2週目 |
309.33 |
78.8 |
3週目 |
306.67 |
76.9 |
4週目 |
306.67 |
74.1 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2024年9月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 41.5~42.5 |
36.5~37.5 |
100%強 |
弱含み |
東北
| 43.5~44.5 |
37.5~38.5 |
100%強 |
弱含み |
新潟
| 44.0~45.0 |
37.5~38.0 |
100%強 |
弱含み |
関東
| 45.0~46.0 |
37.5~38.5 |
100%強 |
弱含み |
中部
| 45.0~46.0 |
38.0~40.0 |
100%強 |
弱含み |
関西
| 47.0~48.5 |
39.0~40.5 |
100%強 |
弱含み |
姫路
| 46.0~47.5 |
40.5~41.0 |
100% |
弱含み |
中・四国
| 46.0中心 |
40.5中心 |
100% |
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九 州
| 46.0中心 |
40.5中心 |
100%強 |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |