Ⅰ. 市況報告
8月の国内鉄スクラップ市況は、一部に値上げが見られたが、総じて需給が均衡したまま様子見が続く展開で終始した。7月中旬の関東地区輸出テンダーを受けた大手電炉の全国的な値上げの後、関西地区の電炉はそれに追随することなく購入価格を据え置き東高西低の状況となっていたが、8月も基本的にその傾向が続いた。8月9日の関東地区輸出テンダーの落札値はほぼ国内価格に近いもので、国内相場は変動が無いまま中旬の連休に入った。連休明けの為替相場が円安の動きとなったことから、8月下旬には大手電炉が「輸出阻止」対応の値上げを発表したが、多くの電炉は追随せずに様子見姿勢であった。
猛暑により建物解体や発生工場から発生する鉄スクラップが減るといった現象が見られる一方、輸出については需要が強くないものの輸出量は前年を上回る状況にあり、需要家筋は値下げには慎重である。国内外とも需給が低位均衡している状況でマーケットを大きく動かす決め手に欠けており、様子見商状が続いている。
8月末のH2炉前価格は、関東が¥50,000~51,000、関西(大阪・姫路)が¥49,500~51,000で、前月末比較では関東はほぼ変わらず、関西で¥1,000~2,000ほど高くなった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年7月)
生産・在庫量 | 前月比 | |
---|---|---|
粗鋼生産 | 7,389 | +60 |
(うち電炉) | 1,776 | -232 |
メーカースクラップ在庫※ | 3,215 | -31 |
小棒生産 | 635 | +12 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年6月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
数量 (2023年7月) |
前月比 | 単価 (2023年8月) |
前月比 | |
---|---|---|---|---|
スクラップ | 567 | -71 | 49,400 | +1,100 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
生産量 | 前月比 | |
---|---|---|
2023年7月 | 158,500 | -300 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
価格(U.S.ドル) | 操業率(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年7月 | 3週目 | 303.33 | 76.6 | ||||
4週目 | 303.33 | 76.9 | |||||
5週目 | 303.33 | 75.9 | |||||
2023年8月 | 1週目 | 303.33 | 76.4 | ||||
2週目 | 318.00 | 77.2 | |||||
3週目 | 320.00 | 76.2 | |||||
4週目 | 320.00 | 未入電 | |||||
■資料:日本鉄源協会 | |||||||
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年8月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
月初 | 月末 | 入荷状況 | 見込み | |
---|---|---|---|---|
北海道 | 45.5~46.5 | 45.5~46.5 | 100% | 様子見 |
東北 | 48.5~49.5 | 48.5~49.5 | 100% | 様子見 |
新潟 | 48.5~49.5 | 48.5~49.5 | 100% | 様子見 |
関東 | 50.0~51.0 | 50.0~51.0 | 100%~100%強 | 様子見 |
中部 | 48.0~49.0 | 48.5~50.0 | 100% | 様子見 |
関西 | 49.0~50.0 | 49.5~50.5 | 100%弱 | 強含み様子見 |
姫路 | 48.5~49.0 | 50.0~51.0 | 100%弱 | 強含み様子見 |
中・四国 | 49.5中心 | 51.0中心 | 100%弱 | |
九 州 | 49.5中心 | 51.0中心 | 100%弱 | |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |