市況【2023年7月3日掲載】

Ⅰ. 市況報告

6月の国内鉄スクラップ市況は、5月中旬からの強含みの状況を引き継いだ形で始まった。9日の関東鉄源輸出入札で落札価格が伸び悩み、需要不安感も漂ったが、市中スクラップの荷動きが低調なことからタイト感が継続。月上旬から中旬にかけて各地区で2,000円ほどの値上げが浸透し、月末も堅調感が残っている。
製品環境の悪化にともない国内外の需要水準は低調である。ただし、鉄スクラップ業者の在庫が薄く、需給がミートするかたちで相場が崩れにくい環境となっている。また、海外メーカーも日本産鉄スクラップの手当てを続けており、急激な円安の進行で円建て価格が上昇した。品薄感や先行き不透明感によって日本のサプライヤーも安値販売を避けており、国内相場と同様に輸出の交渉価格も堅調感が残っている。6月末のH2炉前価格は、関東が¥48,500~49,500、関西(大阪・姫路)が¥47,500~50,000で、前月末比較ではいずれも¥2,500ほど高くなっている。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2023年5月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 7,649 412
(うち電炉) 2,045 82
メーカースクラップ在庫 3,428 19
小棒生産 641 34
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年4月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)輸出

  数量
(2023年5月)
前月比 単価
(2023年6月)
前月比
スクラップ 592 32 48,400 1,500
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(3)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2023年5月 161,600 200
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(4)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2023年5月 3週目 330.00 76.8
4週目 330.00 77.2
5週目 330.00 78.0
2023年6月 1週目 330.00 77.3
2週目 324.67 77.5
3週目 303.33 78.1
4週目 303.33 未入電
■資料:日本鉄源協会
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2023年6月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 43.5~44.0 44.5~45.5 100% 様子見
東北 45.0~46.0 47.0~48.0 100% 様子見
新潟 45.0~46.0 47.0~48.0 100% 様子見
関東 46.0~47.0 48.5~49.5 100%前後 様子見
中部 45.5~47.0 48.0~48.5 98%~100% 様子見
関西 47.0~49.0 49.5~50.0 100% 様子見
姫路 46.0~46.5 47.5~49.0 100% 様子見
中・四国 47.0中心 48.5中心 100%
九 州 47.5中心 48.5中心 100%強
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社