Ⅰ. 市況報告
4月の鉄スクラップ市況は、欧米・日本の粗鋼生産減を背景に、3月中旬以降の弱基調を引き継いだ形で推移した。米国の銀行破綻に始まった金融不安もアジア地域に影響を与えており、建設向け等の鉄鋼需要の後退により、日本からの鉄スクラップ輸出価格も下落した。日本国内の需要家は、輸出価格に買い負けないよう輸出と同値もしくは多少高い水準で設定する傾向にあるが、輸出マーケット低迷から買値の下落傾向、弱基調が続いている。
2023年の経済成長、鉄鋼需要を前年比プラスと予測する国内外の各機関もあり、今後鉄鋼生産活動が上向けば鉄スクラップ価格は回復する可能性を秘めている。
4月末のH2炉前価格は、関東が¥48,000~49,000、関西(大阪・姫路)が¥47,500~49,500で、前月末比較では¥4,000ほど安い。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年3月)
生産・在庫量 | 前月比 | |
---|---|---|
粗鋼生産 | 7,486 | +573 |
(うち電炉) | 1,956 | +95 |
メーカースクラップ在庫※ | 3,269 | -14 |
小棒生産 | 643 | +64 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年2月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
数量 (2023年3月) |
前月比 | 単価 (2023年4月) |
前月比 | |
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スクラップ | 576 | +47 | 48,400 | -5,400 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
生産量 | 前月比 | |
---|---|---|
2023年3月 | 165,100 | +22,700 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
価格(U.S.ドル) | 操業率(%) | ||||||
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2023年3月 | 2週目 | 379.67 | 75.4 | ||||
3週目 | 396.67 | 75.1 | |||||
4週目 | 396.67 | 74.2 | |||||
2023年4月 | 1週目 | 396.67 | 74.4 | ||||
2週目 | 396.67 | 75.0 | |||||
3週目 | 370.00 | 75.6 | |||||
4週目 | 370.00 | 未入電 | |||||
■資料:日本鉄源協会 | |||||||
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年4月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
月初 | 月末 | 入荷状況 | 見込み | |
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北海道 | 49.0~50.0 | 45.5~46.5 | 100%強 | 弱含み |
東北 | 51.0~52.0 | 47.0~48.0 | 100%強 | 弱含み |
新潟 | 52.0~53.0 | 47.5~48.5 | 100%強 | 弱含み |
関東 | 52.0~53.0 | 48.0~49.0 | 100%強 | 弱含み |
中部 | 52.0~53.0 | 48.0~49.5 | 100%強 | 弱含み |
関西 | 53.0~53.5 | 47.5~49.5 | 100%強 | 弱含み |
姫路 | 52.5~53.0 | 48.5~49.0 | 100% | 弱含み |
中・四国 | 53.0中心 | 49.5中心 | 100%強 | |
九 州 | 53.0中心 | 50.0中心 | 100%強 | |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |