Ⅰ. 市況報告
年明けの鉄スクラップ市況は、総じて堅調に推移していると言える。昨年12月に続き1月も、月半ばに行われた関東地区での輸出向け入札での落札価格が地場主要電炉の価格を上回ったこと、そしてそれに対抗する形で大手電炉メーカーが値上げを実施したことにより、国内鉄スクラップ価格は上昇。市中スクラップの荷動き低迷も下支え材料となり相場は堅調に推移した。こういった構造的な価格の下支えは今後も続く可能性がある。1月末のH2炉前価格は、関東が¥50,500~51,500、関西が¥49,500~51,000で、前月末より¥1,000~¥2,500ほど値を上げた。
一方、2022年の日本の鉄スクラップ輸出量は合計631万トンと、2021年に引き続き2年連続で前年実績を下回り、2011年の544万トン以来11年ぶりの低水準となった。ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した資源価格急騰によるアジア各国を含めた世界的な景気の減退と粗鋼生産量の減少や、日本の鉄スクラップ価格の高止まりが嫌気されたことがその背景にある。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年12月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,899 |
-285 |
(うち電炉) |
1,813 |
-186 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,242 |
+141 |
小棒生産 |
581 |
-82 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年11月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2023年1月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
112,300 |
+600 |
H形鋼 |
123,700 |
±0 |
スクラップ |
46,840 |
+2,120 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2022年12月) |
前月比 |
単価 (2023年1月) |
前月比 |
スクラップ |
447 |
-55 |
50,600 |
+2,500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2022年12月 |
140,700 |
+1,600 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年12月 |
2週目 |
302.66 |
72.9 |
3週目 |
313.33 |
72.3 |
4週目 |
313.33 |
71.8 |
2023年1月 |
1週目 |
313.33 |
71.3 |
2週目 |
313.33 |
71.7 |
3週目 |
346.67 |
72.5 |
4週目 |
346.67 |
73.1 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年1月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 44.0~45.0 |
44.0~45.0 |
100% |
様子見 |
東北
| 46.5~48.0 |
48.5~50.0 |
90% |
堅調 |
新潟
| 47.5~48.5 |
49.5~50.5 |
90% |
堅調 |
関東
| 48.0~49.0 |
50.5~51.5 |
100%弱~100% |
堅調 |
中部
| 48.0~49.0 |
50.0~51.0 |
100%~100%強 |
様子見 |
関西
| 49.0~50.0 |
49.5~50.5 |
95%~100% |
堅調 |
姫路
| 48.5~50.0 |
50.5~51.0 |
100%弱 |
堅調 |
中・四国
| 49.0中心 |
51.0中心 |
100% |
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九 州
| 49.0中心 |
51.0中心 |
100% |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |