Ⅰ. 市況報告
10月の国内鉄スクラップ市況は、月初から月末まで大きな動きを見せずにほぼ横這い推移となり、決め手を欠く様子見商状となった。10月12日の関東地区輸出テンダーの落札値は5万円を上回ったものの前月比で下落、国内相場を下回る結果となった。しかし、テンダー後も国内メーカーの多くが様子見を継続し、市況は落ち着いて推移した。日本の主要な輸出先である韓国、ベトナムでは不動産市場の低迷から鉄鋼需要が落ちており、日本の輸出市場も若干弱含みである。しかし、国内需要家は必要量確保のため価格を据え置き入荷を優先させてきた。国内外ともに需要低迷が続くものの、スクラップの供給の伸び悩みが国内価格を下支えしてきた。しかし、東京製鐵が11月1日より全拠点で500円~1,000円の値下げを発表し、今後の展開に注目が集まっている。
10月末のH2炉前価格は、関東が¥50,000~51,500、関西(大阪・姫路)が¥50,000~51,500で、前月末比較では関東、関西ともに一部の調整はあったがほぼ横這いであった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年9月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,021 |
-125 |
(うち電炉) |
1,877 |
+239 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,215 |
-10 |
小棒生産 |
612 |
+77 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年8月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2023年9月) |
前月比 |
単価 (2023年10月) |
前月比 |
スクラップ |
525 |
-43 |
50,200 |
-500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2023年9月 |
149,300 |
-3,300 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2023年9月 |
2週目 |
320.00 |
76.2 |
3週目 |
320.00 |
76.3 |
4週目 |
320.00 |
75.7 |
2023年10月 |
1週目 |
320.00 |
74.7 |
2週目 |
320.00 |
73.8 |
3週目 |
320.00 |
74.1 |
4週目 |
未入手 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年10月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.5~46.5 |
45.5~46.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 48.5~49.5 |
48.5~49.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 48.5~49.5 |
49.0~50.0 |
100%弱~100% |
様子見 |
関東
| 50.5~51.5 |
50.0~51.5 |
100% |
様子見 |
中部
| 49.5~51.0 |
49.0~50.0 |
100% |
様子見 |
関西
| 50.5~51.0 |
50.5~51.5 |
100% |
様子見 |
姫路
| 50.0~51.0 |
50.0~51.0 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 51.0中心 |
51.0中心 |
100% |
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九 州
| 51.0中心 |
51.0中心 |
100%強 |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |