Ⅰ. 市況報告
9月の国内鉄スクラップ市況は、8月後半の様子見商状を引き継いで始まり、前半には関東で一部電炉の調整値下げも発表された。しかし、9月12日の関東地区輸出テンダーの落札値が予想を上回る5万1千円超え(H2FAS基準)であった為、これまでのパターン通り大手電炉がテンダー直後に対応値上げを発表した(関東・中部地区)。
地区によりばらつきはあるものの、国内の母材発生減、東南~南アジアの一部の需要が比較的堅調であることを背景にスクラップ需給にタイト感が残ったまま月末を迎えている。また、円安進行は日本産鉄スクラップのドル建て価格を押し下げ、輸出市場において日本産の競争力を高める効果がある。これまで大手電炉の輸出阻止の為の値上げを誘発していることもあり、急激な円安も国内相場の強含み材料となっている。9月末のH2炉前価格は、関東が¥50,000~51,500、関西(大阪・姫路)が¥50,000~51,000で、前月末比較では関東は¥500、関西では¥1,000ほど高くなった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年8月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,146 |
-243 |
(うち電炉) |
1,638 |
-138 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,225 |
+10 |
小棒生産 |
535 |
-100 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年7月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2023年8月) |
前月比 |
単価 (2023年9月) |
前月比 |
スクラップ |
568 |
+1 |
50,700 |
+1,300 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2023年8月 |
152,600 |
-5,900 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2023年8月 |
2週目 |
318.00 |
77.2 |
3週目 |
320.00 |
76.2 |
4週目 |
320.00 |
76.0 |
2023年9月 |
1週目 |
320.00 |
75.7 |
2週目 |
320.00 |
76.2 |
3週目 |
320.00 |
76.3 |
4週目 |
未入手 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年9月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.5~46.5 |
45.5~46.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 48.5~49.5 |
48.5~49.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 48.5~49.5 |
48.5~49.5 |
100% |
様子見 |
関東
| 50.0~51.0 |
50.5~51.5 |
100% |
堅調様子見 |
中部
| 48.5~50.0 |
49.5~51.0 |
100% |
様子見 |
関西
| 49.5~50.5 |
50.5~51.0 |
100% |
堅調様子見 |
姫路
| 50.0~51.0 |
50.0~51.0 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 51.0中心 |
51.0中心 |
100% |
|
九 州
| 51.0中心 |
51.0中心 |
100% |
|
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |