Ⅰ. 市況報告
国内鉄スクラップ市況は、12月初旬には11月から引き続き弱基調で推移した。しかし、12月9日の関東地区の輸出向けの入札では、海外からの引き合いに裏打ちされた形で予想を上回る価格で落札されたとなった。同価格は地場主要電炉や湾岸で輸出向けに集荷する価格を上回り、相場はここで一気に上げ基調に転じた。12月末のH2炉前価格は、関東が¥48,000~49,000、関西が¥48,500~50,000で、前月末より¥2,000~¥3,000ほど値を上げた。
昨年の日本全体の粗鋼生産量は90百万㌧に届かず前年比減少との見込みであるが、内訳として電炉鋼生産量は僅かな減少に留まっている。また、昨年の小棒生産量と価格は比較的堅調に推移しており、今年も同様の状況が続けば鉄スクラップの需要、価格が大きく下がる可能性は低いとの見方もある。
ここ数年カーボンニュートラルを背景に日本の高炉メーカーの鉄スクラップ購入量増加が予想されてきた。高炉メーカーは水素還元法の研究開発とともに電炉増強による生産を目指すも、電炉生産増強の実現は数年先と見られている。但し、今後製品需要増等から粗鋼生産量が上向く際には、転炉向けの鉄スクラップ需要増も可能性も考えられ、引き続き高炉メーカーの鉄スクラップ購買状況は注目されるところである。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年11月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,184 |
-160 |
(うち電炉) |
1,999 |
-45 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,101 |
-24 |
小棒生産 |
663 |
-13 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年10月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年12月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
|
価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
111,700 |
-1,000 |
H形鋼 |
123,700 |
±0 |
スクラップ |
44,720 |
-850 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2022年11月) |
前月比 |
単価 (2022年12月) |
前月比 |
スクラップ |
502 |
-156 |
48,100 |
+4,100 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年11月 |
139,100 |
-8,200 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年11月 |
2週目 |
294.76 |
73.0 |
3週目 |
293.33 |
72.8 |
4週目 |
293.33 |
73.1 |
2022年12月 |
1週目 |
293.33 |
73.7 |
2週目 |
302.66 |
72.9 |
3週目 |
313.33 |
未入電 |
4週目 |
未入電 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年12月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
|
月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 41.0~42.0 |
44.0~45.0 |
100% |
様子見横ばい |
東北
| 44.0~45.5 |
46.5~48.0 |
100% |
様子見横ばい |
新潟
| 45.5~46.5 |
47.5~48.5 |
100% |
様子見横ばい |
関東
| 46.0~47.0 |
48.0~49.0 |
100% |
様子見横ばい |
中部
| 44.5~46.0 |
48.0~49.0 |
100%前後 |
様子見 |
関西
| 47.5~48.0 |
49.0~50.0 |
100% |
様子見横ばい |
姫路
| 45.5~46.0 |
48.5~50.0 |
100% |
様子見横ばい |
中・四国
| 46.0中心 |
49.0中心 |
100% |
|
九 州
| 46.5中心 |
49.0中心 |
100% |
|
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |