Ⅰ. 市況報告
3月の鉄スクラップ相場は国内外ともに急騰した。ロシアのウクライナ侵攻を契機に、両国からの鉄鋼関連商品の供給懸念が高まると、スラブやビレットなどの半製品、銑鉄、原料炭の価格はいずれも過去最高値水準に急伸し、鉄スクラップ相場もトルコ向け成約を中心に高騰した。トルコ向けHMS成約価格は$650(CFR)を超え、前月の安値と比べ$150以上大きく跳ね上がった。
トルコ向け相場の上昇はアジア市場に波及し、日本産スクラップの韓国向け輸出成約はH2で¥66,000(FOB)と前月比で¥9,000、年初比で¥19,000上昇している。国内では炉前H2価格が関東で¥63,500~64,500、関西で@¥64,500~65,500を形成し、前月比で¥7,000~8,000高い。年度末で市中回収量は増加したとみられるが、需給緩和には至らず、国内相場は2008年7月に記録した7万円台の史上最高値へ向けて上昇基調を辿っている。
ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、鉄スクラップ相場の先行き不透明感は強く、反動安を危惧する声が増えている半面、脱炭素化へ向けた世界的な需要拡大が支えとなり、鉄スクラップ相場は2022年度も高値圏での推移が見込まれている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年2月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,299 |
-459 |
(うち電炉) |
1,946 |
+20 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,994 |
-38 |
小棒生産 |
591 |
+4 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年1月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年3月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
|
価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
100,900 |
+5,800 |
H形鋼 |
112,000 |
+2,300 |
スクラップ |
58,100 |
+6,200 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2022年2月) |
前月比 |
単価 (2022年3月) |
前月比 |
スクラップ |
513 |
+211 |
62,500 |
+5,700 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年2月 |
142,000 |
-12,300 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年2月 |
3週目 |
406.67 |
80.1 |
4週目 |
406.67 |
79.9 |
5週目 |
406.67 |
80.0 |
2022年3月 |
1週目 |
406.67 |
79.9 |
2週目 |
473.33 |
80.2 |
3週目 |
531.67 |
79.4 |
4週目 |
531.67 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年3月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
|
月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 51.5~52.5 |
60.5~61.5 |
100%弱 |
続伸 |
東北
| 53.0~54.0 |
60.5~61.5 |
100%弱 |
続伸 |
新潟
| 56.0~57.0 |
63.0~64.0 |
100%弱 |
続伸 |
関東
| 56.0~57.5 |
63.5~64.5 |
100%弱 |
堅調 |
中部
| 55.0~56.0 |
63.5~64.5 |
100%弱 |
続伸 |
関西
| 56.5~57.0 |
64.5~65.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
姫路
| 56.5~57.0 |
63.5~64.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
中・四国
| 57.0中心 |
64.5中心 |
100%弱 |
堅調様子見 |
九 州
| 57.0中心 |
64.5中心 |
100%弱 |
堅調様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |