Ⅰ. 市況報告
11月から高値修正局面に移行した鉄スクラップ市況は、12月を迎えても下げ基調に変化は見られず、全般的に下落した。月末のH2炉前価格は、関東地区で¥51,000~53,000、関西地区で¥54,000~55,500と前月末比それぞれ▼¥2~3,000となっているが、西高東低の状況に変わりはない。
国際市況も下がっており、トルコ向け米国産HMSは5週連続で下落して$460CFR(直近のピーク比▼$25)、韓国向けH2FOB価格も月初比▼¥2,500の¥47,000と国内との価格差が大きく成約は進んでいない。関東鉄源協同組合の輸出向け入札が12月も関東地場向け価格差を嫌気して11月に引き続き流札となったことはそれを象徴している。余剰地域である関東では、輸出向け出荷の減少と年末の内航船不足から西送りの停滞が伝えられ、徐々に荷余り状況も出てきている。
また、国内、韓国の高炉メーカーの上級品種(新断、HS)積極購入の影響から、上級品種が極端に値上がりし、一時H2との値差が¥15,000以上あったものの、高炉メーカーの購入量が減った影響もあり、現在は¥5,000程度に縮まってきている。
市況は下げ基調のまま越年する見込みであるが、年明けの需給環境には不確定な要素もあり長期的トレンドを見通すことは難しい状況にある。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2021年11月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,040 |
-184 |
(うち電炉) |
2,207 |
-5 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,718 |
-91 |
小棒生産 |
688 |
-38 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年10月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2021年12月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
|
価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
94,400 |
+1,400 |
H形鋼 |
109,700 |
+1,200 |
スクラップ |
52,200 |
-1,400 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2021年11月) |
前月比 |
単価 (2021年12月) |
前月比 |
スクラップ |
480 |
-34 |
52,800 |
-1,900 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2021年11月 |
143,300 |
-2,400 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2021年11月 |
3週目 |
465.00 |
84.3 |
4週目 |
465.00 |
83.2 |
5週目 |
465.00 |
81.9 |
2021年12月 |
1週目 |
465.00 |
82.4 |
2週目 |
465.00 |
81.8 |
3週目 |
465.00 |
未入電 |
4週目 |
465.00 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2021年12月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
|
月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 48.5~49.5 |
47.5~48.5 |
100% |
軟調 |
東北
| 52.5~53.5 |
50.5~51.5 |
100% |
軟調 |
新潟
| 53.5~54.0 |
50.0~51.0 |
100% |
軟調 |
関東
| 54.0~55.0 |
51.0~53.0 |
100%強 |
軟調 |
中部
| 54.0~55.0 |
52.5~53.5 |
100% |
軟調 |
関西
| 56.5~57.5 |
54.0~55.5 |
100%強 |
弱含み |
姫路
| 54.0~54.5 |
53.5~54.0 |
100% |
弱含み |
中・四国
| 54.0中心 |
54.0中心 |
100% |
弱含み |
九 州
| 54.5中心 |
54.0中心 |
100% |
弱含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |