Ⅰ. 市況報告
5月の国内鉄スクラップ相場は一部地区でH2炉前価格が5万円に到達するなど騰勢を強め、2008年8月以来12年9ヵ月ぶりの高値に切り上がった。中国が5月から鋼材輸出時の増値税還付を撤廃すると鋼材価格や鉄鉱石価格の上昇に拍車がかかり、鉄スクラップ価格も世界的に大幅続伸した。トルコ向けHMS成約価格は@$510(CFR)を突破し、前月比$70~80急上昇した。
ただ、この上昇を懸念した中国政府がインフレ抑制に乗り出したことから月末にかけては一転して高値警戒感が広がり、5月中旬に@¥50,000(FOB)に達したH2の韓国向け輸出成約価格は月末には@¥47,000(FOB)に反落している。国内H2炉前価格は、関西では@¥50,000~51,500で様子見横ばい推移しているが、関東では@¥48,000~49,000と¥1,000の高値修正が進んでいる。
アジア圏の相場はすでに調整局面を迎えており、今後これが国内相場に本格的に波及することが想定される一方、内需は堅調であることからHSや新断を中心に市況は当面、高値圏で推移するとの見方も根強い。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2021年4月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,817 |
-498 |
(うち電炉) |
2,036 |
-46 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,197 |
+213 |
小棒生産 |
644 |
-6 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年3月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2021年5月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
79,600 |
+1,300 |
H形鋼 |
87,500 |
+2,000 |
スクラップ |
44,100 |
+5,100 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2021年4月) |
前月比 |
単価 (2021年5月) |
前月比 |
スクラップ |
887 |
+160 |
48,600 |
+5,500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2021年4月 |
169,500 |
+300 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2021年4月 |
2週目 |
391.67 |
78.0 |
3週目 |
391.67 |
78.4 |
4週目 |
391.67 |
78.7 |
2021年5月 |
1週目 |
391.67 |
78.1 |
2週目 |
413.33 |
79.2 |
3週目 |
413.33 |
79.0 |
4週目 |
413.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2021年5月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 39.0~40.0 |
46.0~47.0 |
100% |
軟調様子見 |
東北
| 40.0~41.0 |
46.0~47.0 |
100% |
軟調様子見 |
新潟
| 40.0~41.0 |
46.0~47.0 |
100% |
様子見 |
関東
| 41.0~42.0 |
48.0~49.0 |
100% |
軟調様子見 |
中部
| 43.0~44.0 |
50.5~51.5 |
100%強 |
様子見 |
関西
| 42.5~43.5 |
50.0~51.5 |
100%弱 |
様子見 |
姫路
| 43.5~44.5 |
50.0~50.5 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 44.0中心 |
50.0中心 |
100% |
様子見 |
九 州
| 43.5中心 |
50.0中心 |
100% |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |