Ⅰ. 市況報告
9月に始まった鉄スクラップ価格上昇は、10月に入り全国的にその様相を強めている。月末の各地区の価格は今年の最高値を更新(13年2ヵ月ぶりの高値を記録)しており、関東のH2が¥55,000~56,000、関西が¥56,500~57,500と前月末比それぞれ¥8,500、¥5,500upと急騰している。特に中部地区では一部電炉が集荷促進のため建値を上げており¥57,500~58,500と全国の最高値となっている。
電炉メーカーの生産意欲は強く鉄スクラップ購入意欲は高いものの、市中からの鉄スクラップ供給は低下したままであり、需給タイト感は継続している。主原料である鉄スクラップに加え、合金鉄や電極の価格急騰、電力料金の上昇も伝えられ、電炉メーカーは生産コストアップを吸収するため鋼材価格の改定を打ち出している。
国際価格も、トルコ向け米国産HMS価格が$505CFRと5か月ぶりの高値を記録したとの報道があるものの、日本のH2価格の上昇が突出しておりベトナム、韓国向けにまとまった量の輸出成約報告は聞こえてこない。日本の独歩高の状況が、今後どこまで継続するかを見通すことは難しく、市況の先行きに不透明感を残したまま越月している。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2021年9月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,144 |
+220 |
(うち電炉) |
2,120 |
+295 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,908 |
-84 |
小棒生産 |
660 |
+87 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年8月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2021年10月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
88,700 |
±0 |
H形鋼 |
106,500 |
+3,800 |
スクラップ |
50,700 |
+5,900 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2021年9月) |
前月比 |
単価 (2021年10月) |
前月比 |
スクラップ |
467 |
-78 |
54,400 |
+8,000 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2021年9月 |
144,400 |
-12,400 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2021年9月 |
2週目 |
413.33 |
84.9 |
3週目 |
413.33 |
85.2 |
4週目 |
413.33 |
84.8 |
2021年10月 |
1週目 |
413.33 |
84.2 |
2週目 |
414.00 |
85.3 |
3週目 |
416.67 |
84.7 |
4週目 |
416.67 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2021年10月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.5~46.5 |
49.5~50.5 |
100%弱 |
堅調 |
東北
| 46.0~47.0 |
53.5~54.5 |
100%弱 |
堅調 |
新潟
| 46.0~47.0 |
54.0~55.0 |
100%弱 |
堅調 |
関東
| 46.5~47.5 |
55.0~56.0 |
100%弱 |
堅調 |
中部
| 49.0~50.0 |
57.5~58.5 |
100%弱 |
堅調 |
関西
| 51.0~52.0 |
56.5~57.5 |
100%弱 |
強含み |
姫路
| 50.0~51.0 |
54.5~55.5 |
100%弱 |
強含み |
中・四国
| 51.0中心(海上) |
55.0中心(海上) |
100%弱 |
強含み |
九 州
| 51.0中心(海上) |
56.0中心(海上) |
100%弱 |
強含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |