Ⅰ. 市況報告
7月から8月にかけて下落基調を辿った国内鉄スクラップ相場は、9月前半も軟調感を残したものの、後半に入ると西日本を中心に上昇に転じた。月末のH2炉前価格は関東が@¥46,500~47,500で前月末比横ばい乃至若干安、関西は@¥51,000~52,000と同¥1,500~2,000程度反発している。10月以降も内需は堅調とみられるうえ、全国的に市中荷動きの悪化が報告されており、国内相場は今後も高値圏での推移が予想される。
新規輸出相場では9月に入るとベトナムや台湾向け輸出成約が出始め、国内市況の底入れにつながった。月末のベトナム向けH2成約価格は$490(CFR)程度に回復しており、新型コロナウイルス感染が落ち着けば輸出成約価格はさらなる上昇が期待される。半面、鉄鉱石価格が一時$100ドル水準に急落したほか、中国不動産大手の債務問題が中国景気の先行きに影を落とすなど外部環境の悪化を懸念する向きも増えている。
上記の通り、硬軟両面の要素はあるものの、全体的には堅調感を保ちながら越月している。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2021年8月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,924 |
-83 |
(うち電炉) |
1,825 |
-132 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,992 |
+37 |
小棒生産 |
573 |
-97 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年7月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2021年9月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
88,700 |
+400 |
H形鋼 |
102,700 |
+2,000 |
スクラップ |
44,800 |
-1,300 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2021年8月) |
前月比 |
単価 (2021年9月) |
前月比 |
スクラップ |
545 |
-53 |
46,400 |
-900 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2021年8月 |
156,800 |
-4,900 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2021年8月 |
3週目 |
438.33 |
85.0 |
4週目 |
438.33 |
84.9 |
5週目 |
438.33 |
84.5 |
2021年9月 |
1週目 |
438.33 |
85.3 |
2週目 |
413.33 |
84.9 |
3週目 |
413.33 |
85.2 |
4週目 |
413.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2021年9月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.0~46.0 |
45.5~46.5 |
100%弱 |
堅調 |
東北
| 46.0~47.0 |
46.0~47.0 |
100%弱 |
堅調 |
新潟
| 46.0~47.0 |
46.0~47.0 |
100%弱 |
堅調 |
関東
| 47.0~48.0 |
46.5~47.5 |
100%弱 |
堅調 |
中部
| 46.5~48.0 |
49.0~50.0 |
100%弱 |
堅調 |
関西
| 49.5~50.5 |
51.0~52.0 |
100%弱 |
強含み |
姫路
| 49.5~50.0 |
50.0~51.0 |
100%弱 |
強含み |
中・四国
| 49.5中心 |
51.0中心(海上) |
100%弱 |
強含み |
九 州
| 48.0中心 |
51.0中心(海上) |
100%弱 |
強含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |