Ⅰ. 市況報告
7月から9月にかけて上昇してきた国内鉄スクラップ市況は、10月に入ると国際市況の軟化を背景に総じて横這い基調へと転じた。だが、月後半になって西日本地区の高炉メーカーの市中スクラップ購入量増加の影響で関西以西に再び値上げの動きが見られ、その流れが月末には関東地区にも広がりつつある。月末のH2価格は、関東が@¥26,500~27,000で前月比不変、関西は@¥27,500~28,500と+@¥1,000となっている。
海外市況も底打ちから小幅上昇しており、日本からの輸出価格もベトナム、バングラデイッシュ向けで高値成約が報告されている。その影響で、関東地区でも輸出向け湾岸地区の価格が電炉向け価格に先行して上昇が始まっている。
国内の粗鋼生産動向を見れば、高炉メーカーは自動車向け販売が回復しつつあり増加してきているが、電炉メーカーは特殊鋼を除き引き続き低迷している。この為、鉄スクラップの内需回復は遅れているものの、輸出数量は過去最高を更新する勢いで増加しており、鉄スクラップの市中流通量の減少も相俟って市中には需給タイト感が強まりつつある。
年末に向けて海外からの需要が減少する気配は無く、市況は先高観を維持したまま11月を迎えている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2020年9月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,486 |
+40 |
(うち電炉) |
1,551 |
±0 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,259 |
-246 |
小棒生産 |
596 |
-14 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2020年8月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2020年10月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
63,600 |
+1,200 |
H形鋼 |
73,700 |
+300 |
スクラップ |
24,600 |
+600 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2020年9月) |
前月比 |
単価 (2020年10月) |
前月比 |
スクラップ |
747 |
+76 |
27,900 |
-200 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2020年9月 |
156,359 |
+115 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2020年9月 |
2週目 |
245.00 |
65.1 |
3週目 |
245.00 |
64.5 |
4週目 |
245.00 |
66.1 |
2020年10月 |
1週目 |
245.00 |
66.6 |
2週目 |
244.33 |
67.9 |
3週目 |
244.33 |
69.4 |
4週目 |
244.33 |
69.7 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2020年10月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 22.5~24.0 |
24.0~25.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
東北
| 23.0~25.0 |
25.0~26.0 |
100%弱 |
堅調様子見 |
新潟
| 25.0~26.0 |
25.5~26.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
関東
| 26.5~27.0 |
26.5~27.0 |
100%弱 |
様子見 |
中部
| 25.5~27.0 |
25.5~27.0 |
100%弱 |
様子見 |
関西
| 26.5~27.5 |
27.5~28.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
姫路
| 25.5~26.5 |
26.5~27.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
中・四国
| 25.5中心 |
27.0中心 |
100%弱 |
堅調様子見 |
九 州
| 27.0中心 |
27.0中心 |
100%弱 |
堅調様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |