市況【2025年9月2日掲載】

Ⅰ. 市況報告

8月の鉄スクラップ国内市況は、電炉の夏季減産の動きの中、中旬までは需給の縮小均衡により様子見の状況が続いていたが、下旬には関東で、月末には関西でも下落が見られた。関東では電炉の下落に対しシッパー買値は比較的堅調であり、二極化の様相となっている。東京製鐵は、8月下旬に宇都宮で1回計500円、岡山、関西SY、高松の各拠点で2回計1,000円の鉄スクラップ購入価格の引き下げを行った。6月に前月比で増加した電炉鋼生産は、7月には再び減少に転じた(前年同月比では12か月連続減)。一方、7月の鉄スクラップ輸出は2か月振りに60万トン台となり、1~7月累計では443万トン(前年同期比17.8%増)と年率約760万トンのペースを維持している(前年実績は654万トン)。向け先ではベトナムとバングラデシュの増加が目立っている。海外市況は引き続き値動きが少なく、米国コンポジット価格は5月第3週以降、15週連続で同価格となっている。
8月末のH2炉前価格は東北、中部、九州が横ばい、その他地域は前月比500円~1,000円値下がりした。特に関西は需要が振るわず弱含みの気配となっている。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2025年7月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 6,918 208
(うち電炉) 1,718 168
メーカースクラップ在庫 3,229 75
小棒生産 535 37
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2025年6月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)輸出

  数量
(2025年7月)
前月比 単価
(2025年8月)
前月比
スクラップ 616 55 41,500 1,200
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(3)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2025年7月 150,100 2,500
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(4)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2025年7月 3週目 311.67 78.0
4週目 311.67 78.4
5週目 311.67 78.7
2025年8月 1週目 311.67 79.5
2週目 311.67 78.3
3週目 311.67 78.6
4週目 311.67 未入手
■資料:日本鉄源協会
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2025年8月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 36.0~37.0 35.0~36.0 100% 様子見
東北 39.0~40.0 39.0~40.0 100%弱~100% 様子見
新潟 38.0~39.0 37.5~38.5 100% 様子見
関東 39.5~40.5 39.0~40.0 100%弱~100% 様子見
中部 39.0~40.5 39.0~40.5 100% 様子見
関西 39.5~41.0 38.5~40.5 100% 弱含み
姫路 39.0~41.0 39.0~39.5 100% 弱含み
中・四国 40.0中心 39.0中心 100%強
九 州 39.5中心 39.5中心 100%
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社