市況【2025年12月2日掲載】

Ⅰ. 市況報告

11月の鉄スクラップ国内市況は、市中スクラップの発生低迷による需給タイト化と円安の進行に伴う前月からの上昇基調が継続し、各地で年初来の高値を更新した。その後も東日本、東海を中心に堅調感が続いている。東京製鐵は11月に2~3回に亘って鉄スクラップ購入価格の引き上げを発表し、特級価格は関西サテライトヤードで1,000円、その他各拠点では1,500円上昇した。10月の電炉鋼生産は179万トンで、前月比では9.1%増と続伸したものの、前年同月比では1.8%減であり、1~10月累計でも前年同期比6.4%減の1,739万トンと前年割れ水準が続いている。これに対し鉄スクラップ輸出は東南アジア向けを中心に増加基調が強まっており、10月は前月比2.9%増、前年同月比34.5%増の75万トンと今年最高を記録、1~10月累計では前年同期比22.8%増の643万トンに達している。海外市況は、各地域とも鋼材需要が伸びない一方で発生も少ないことから概ね横ばいで推移しており、米国コンポジット価格は10月に小幅な下落を記録した後は横ばいが続いている。
11月末のH2炉前価格は、前月に続き全地域で高値、安値とも500円~1,500円上昇した。安値は北海道を含めた全地域で4万台となった。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2025年10月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 6,853 477
(うち電炉) 1,792 150
メーカースクラップ在庫 3,191 34
小棒生産 576 48
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2025年9月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)輸出

  数量
(2025年10月)
前月比 単価
(2025年11月)
前月比
スクラップ 750 22 43,800 1,500
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(3)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2025年10月 143,300 1,100
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(4)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2025年10月 2週目 309.67 76.1
3週目 308.33 76.3
4週目 308.33 76.0
2025年11月 1週目 308.33 76.7
2週目 308.33 76.2
3週目 308.33 76.9
4週目 308.33 未入手
■資料:日本鉄源協会
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2025年11月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 39.0~40.0 40.5~41.5 100% 様子見
東北 41.5~42.5 42.5~43.5 100% 様子見
新潟 40.0~41.0 41.5~42.5 100% 様子見
関東 42.0~43.0 42.5~44.0 100% 様子見
中部 41.5~43.0 43.5~44.5 100%弱~100% 堅調様子見
関西 42.0~43.0 43.0~44.5 100% 様子見
姫路 42.5~44.0 44.0~44.5 100%弱 様子見
中・四国 43.0中心 44.5中心 100%弱
九 州 43.0中心 44.5中心 100%弱
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社