Ⅰ. 市況報告
6月の鉄スクラップ国内市況は、関東などの東日本地区で様子見の商状、また西日本では軟調気配が強まる中でメーカーの値下げが散発した。国内の鉄鋼需要は建設分野を始め停滞しており、電炉鋼生産は5月まで10カ月連続で前年比減少となった。鉄スクラップ需給が九州を中心に緩和したため、東京製鐵は6月中に関東2拠点と名古屋サテライトを除く拠点の鉄スクラップ購入価格を値下げした。一方、鉄スクラップ輸出は東南アジア向けを中心に高水準の数量を維持している。電炉生産が落ち込むと輸出量が増加するというこれまでの傾向が明確に表れている。海外市況はやや落ち着きを取り戻しており、4~5月に急落した米国相場もその後は横ばいに転じている。
6月末のH2炉前価格は、関東が40,000~41,000円で前月末比横ばい、東北も39,500~40,500円で横ばいであったが、その他の地域は関西を始め500円から1,000円の値下げとなった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2025年5月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,833 |
+229 |
(うち電炉) |
1,759 |
-15 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,288 |
+103 |
小棒生産 |
538 |
-12 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2025年4月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2025年5月) |
前月比 |
単価 (2025年6月) |
前月比 |
スクラップ |
648 |
-94 |
41,400 |
+500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2025年5月 |
158,800 |
+2,600 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2025年5月 |
2週目 |
338.33 |
76.6 |
3週目 |
311.67 |
77.6 |
4週目 |
311.67 |
78.2 |
2025年6月 |
1週目 |
311.67 |
79.5 |
2週目 |
311.67 |
79.4 |
3週目 |
311.67 |
79.6 |
4週目 |
311.67 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2025年6月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 37.0~38.0 |
36.5~37.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 39.5~40.5 |
39.5~40.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 39.0~40.0 |
38.5~39.5 |
100%~100%強 |
様子見 |
関東
| 40.0~41.0 |
40.0~41.0 |
100%前後 |
様子見 |
中部
| 40.0~41.5 |
40.0~41.0 |
100% |
弱含み |
関西
| 41.0~42.0 |
40.0~41.0 |
100% |
軟調様子見 |
姫路
| 40.5~42.0 |
40.0~41.0 |
100% |
軟調様子見 |
中・四国
| 41.0中心 |
40.5中心 |
100% |
|
九 州
| 40.5中心 |
39.5中心 |
100%弱 |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |