国民生活と経済活動を支える鉄リサイクル産業との相関関係

鉄リサイクル産業は、快適で豊かな日常生活を維持する為にあらゆる産業の生産活動と密接に関わり、資源の有効利用と環境の整備に努め、社会の経済活動を支援し、重要な静脈産業として貢献し続けています。

我が国の鉄スクラップの現状について

市中から発生する鉄スクラップの取扱われる量を知るためには、鉄スクラップを主な原料として鉄鋼製品を製造する電気炉メーカーの粗鋼生産量を比較してみるとわかりやすいと思います。
粗鋼生産量とは製鋼炉から得られたままの、圧延や鍛造など加工工程に回る前の鋼の生産量をいいます。鋼は自動車や電機メーカーなどからの注文により生産されるため、粗鋼生産量は景気動向を示す指標の一つとされています。

(単位:1,000M.T)

年度 累計鉄鋼蓄積量(推計) 国内鉄スクラップ購入量(輸出を除く) 電炉粗鋼生産量
2013 1,339,231 30,201 25,422
2014 1,348,460 28,409 25,259
2015 1,356,605 25,635 23,577
2016 1,367,541 26,924 23,873
2017 1,378,803 28,630 25,582
2018 1,392,590 28,932 26,033
2019 1,402,970 25,669 23,526
2020 1,405,217 23,649 21,369
2021 1,413,688 27,557 24,485
2022   26,304 23,511

<出所:一般社団法人 日本鉄源協会発行「鉄源年報」、「クォータリーてつげん」>

鉄鋼蓄積量とは、日本国内で使用され、現在何らかの形で国内に残っているものを鉄換算した量のことです。つまり、ビルディング・橋梁・鉄道などをはじめとして、自動車・自転車・家電製品、家庭内にあるカミソリの刃に至るまですべての鉄を指します。
我々の業界は、市中から発生する鉄スクラップの流通を担っています。
市中から発生する鉄スクラップの2022年度の取扱量は26,304千トンに達しており、これは何と1年間に東京タワー(4,000トン)6,576基分の量に匹敵します。1年365日休まずに処理しても1日当たり約18基分を取扱った計算になります。
 我々、国内の業界で取り扱われた鉄スクラップの約80%以上が電気炉で甦り、残りは転炉での製鋼用や鋳物用として消費されたり、海外へ輸出されたりしています。社会に還元されているわけです。また、鉄鋼蓄積量とスクラップ取扱量との関係では、年間蓄積量の約2~3%が、鉄スクラップとして発生していると見ることがでます。そして、この累計鉄鋼蓄積量(推計)は2021年度には14億1,300万トンに増大しております。